アパートが共有状態になっている場合の家族信託

家族信託の活用事例

不動産を共有で所有するのはデメリットが多く、あまりお勧めできません。

しかし、現実には相続等を原因として、兄弟姉妹で不動産を所有している方もいらっしゃいます。

その場合、不動産の管理や処分について非常に手間がかかるのですが、この問題も家族信託を活用する事で解決する事が出来るのです。

1.具体的事例紹介

太郎さん、二郎さん、花子さん、雪子さんご兄弟は共有でとあるアパートを所有しています(持分は全て同じです)。

四人は高齢で遠方の地にそれぞれバラバラに住んでいる為、アパートの事実上の管理は太郎さんの長男である一郎さんが行っています。

ただし、新入居者との契約や、リフォームの際の業者との契約はアパートの所有者ではない一郎さんが行う事が出来ないので、四人が対応している現状があります。

高齢者にとってはそれが非常に負担になっており、一郎さんへアパートを贈与する事も検討したのですが、贈与税が非常に高額になり現実的な解決策ではありません。

その為、四人は非常に困っているのです。

2.このまま何も行わなければ・・・?

不動産の共有状態と言うのは実際に良くあるのですが、実は様々なデメリットがあります。

アパートを共有しているのであれば、新しい入居者との賃貸借契約を行ったり、アパートの売却を行う場合は、原則、太郎さんご兄弟全員が契約する必要があります。

(賃貸借契約の場合は例外がありますが、話が複雑になりますので割愛します。)

また、もし今の共有状態のまま、四人のうちのどなたかが亡くなり相続が発生すると、その相続人との共有状態になります。

四人の相続人がアパート経営にあまり積極的で無ければ、アパートの管理にさらに支障をきたす事になるでしょう。

最悪の場合、アパートの売却を行おうとしても、事実上売却が不可能になる事だってあり得ます。
 
さらに、もし四人のうちどなたかが認知症等になってしまったら、アパート管理の為に後見の申立を行う必要があります。

家庭裁判所から選任された成年後見人とアパートの管理方針について対立する可能性もありますし、成年後見人の報酬もずっと支払っていく必要があります。

このように、不動産を共有状態にしておく事はデメリットだらけであり、将来的に様々な問題や不必要な費用が発生する可能性も高くなるのです。

3.家族信託を活用した場合 -共有状態解消信託-

委託者兼受益者を太郎さん兄弟全員、受託者を一郎さんとする信託契約を締結します。

信託財産を四人が共有で所有しているアパート及びアパートの管理に必要な現金とし、信託の内容をアパートの管理や新規入居者との契約やアパートの売却等にしておきます。

そうすれば、事実上ではなく法律上も太郎さんが適切にアパートの管理を行う事が可能になります。

毎月得られる賃料は一郎さんが管理して、太郎さんご兄弟に分配します。

そうすれば太郎さんご兄弟はアパート管理の煩わしさから開放され、かつ収益はきちんと受け取る事が出来ます。

さらに、太郎さんご兄弟のどなたかが認知症になったとしても、アパート管理には影響がなく、一郎さんがそのまま管理をする事が出来ます。

また信託の終了時期や、その際にアパートを誰が取得するのか、と言った事も事前に決めておけば、相続が発生しても揉める事はありません。

最終的にアパートを売却する場合も、受託者である一郎さんが全ての売却手続きを行う事が可能になります。

4.まとめ ー不動産の共有状態はデメリットだらけ-

不動産を共有状態にした当時は、様々な理由があり共有にしたのかも知れません。

しかし、何度も申し上げますが、不動産を共有にする事はデメリットが多く、その管理や売却を行う際に支障をきたす事が多いのです。

また、共有の状態で相続が発生するとさらにその管理や処分が大変な事になる可能性が高まります。

アパート等の不動産を共有で所有されている場合は、適切な管理や処分のためにも、家族信託を検討してみてはいかがでしょうか?

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