こんな家族信託はNG!信託法から考える、ダメな家族信託とは?

やっていはいけない家族信託の例 家族信託の基本

こんにちは。司法書士の甲斐です。

家族信託がTV等のメディアで取り上げられるようになり、家族信託の事を専門家に相談される方も増えていると思います。

家族信託は成年後見等では出来ない、様々な事を実現する事が出来る、自由度が高い仕組みです。

ただし、どんな事でも出来るわけではなく、家族信託でもやってはいけない事が存在します。

ところが、専門家の中には、この「やっていはいけない事」を提案している専門家も実は一定数存在しているんですよね。

やってはいけない事をやってしまえば、不利益を被るのは当然、家族信託を行っている当事者です。

仮に損害が発生した場合、専門家に対する責任追及は可能なのかもしれませんが、それには時間もお金もかかります。

そんな無意味な事をしなくても良いように、今回は

「やってはいけない家族信託の例」

をご紹介したいと思います。

1.信託法の条文から禁止されている事

家族信託は信託法の基本的な内容やその本質に反しない限り、当事者が希望している様々な仕組みを構築する事が出来ますが、それにも限界があります。

① 受託者の利益享受の禁止(信託法第8条)

受託者は受益者となる場合を除いて、信託の利益を自分のものとする事はできません。

受託者は信託の内容に従って、受益者の為に働く必要があるからです。

まぁ、当然と言えば当然の規定です。

② 脱法信託の禁止(信託法第9条)

法令により本来は取得できないはずの権利を、家族信託を利用して受益者になる事で、実質的に利益を得る事が禁止されています。

この意味は非常に難しいのですが、例えば外国人は法令によって権利を得る事が制限される場合があるのですが(特許法等)、そのような場合に信託を利用して実質的に権利を得る事を禁止する規定になります。

③ 訴訟信託の禁止(信託法第10条)

家族信託は、訴訟行為(つまり裁判ですね)を行う事を主な目的とする事は出来ません。

なお、必要に応じて訴訟を行うのは当然の権利として認められています。

④ 詐害信託(信託法第11条)

委託者が委託者の債権者の権利を害するような信託を行った場合に、一定の要件のもと、信託の設定のための財産の処分等を債権者が取り消す事ができます。

民法の詐害行為取消権の信託に関する特則です。

2.信託法の基本構造から禁止されている事

これは信託法に禁止規定として定められていないのですが、信託の構造上当然に禁止されるものがあります。

例えば、家族信託と言う名前ではあるけれど、信託財産を受託者に移転させず、委託者名義で管理・運用・処分するのは当然にNGです。

信託法第2条で信託や信託財産に関する定義がされており、信託財産は「受託者に属する財産」と定められているからです。

家族信託のご相談を承っていますと、ご自分の財産が受託者名義になる事に抵抗される委託者候補の方がいらっしゃいます。

しかし、家族信託はご自分の財産を「託す」必要がありますので、このような家族信託は無効になるでしょう。

(ただし、委託者=受託者の信託宣言は別です。)

3.権利濫用防止の観点から禁止されている事

信託は民法の考え方では出来ないような法律構成を取る事ができますが、一方でそれが故、脱法行為に使用された事もあり、信託が禁止された時代もありました。

その歴史から考えても、信託を濫用する事は控えるべきでしょう。

例えば、成年後見制度では絶対に出来ない、リスクが高い金融資産への投資等が典型的なケースです。

また、受託者が無制限に信託財産を処分する事ができる旨の記載がある信託契約も問題があるでしょう。

このような信託は、信託の濫用となり、無効になる危険性を孕んでいます。

4.まとめ

家族信託はまだまだ始まったばかりの新しい制度であり、専門家の中での信託法を自分の都合の良いように解釈する人達もいます。

そのような専門家の説明に対し、ちょっとでもおかしいなと思われたら、別の専門家にもセカンドオピニオンを求める事をお勧めします。

家族信託を専門家に依頼する場合の費用は、けっして安くはありません。

十分に検討を重ねて、家族信託を導入するようにしましょう。

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