家族信託は詐欺対策として有効なのか?

家族信託ニュース

こんにちは。司法書士の甲斐です。

たまたまニュースを見ていたら、このような記事を発見しました。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191222-00015036-toushin-bus_all&p=1

家族信託を紹介したニュースなのですが、その内容が「親の認知症・詐欺対策」として家族信託が有効である、と言う記事です。

家族信託は親の認知症対策としては有効です。

認知症になった場合、自身の財産の管理や処分を行う事が難しくなります。

例えば預金の引き出しや不動産の売却等です。

このような時に備えて家族信託を利用するのは有益なのですが、一方、詐欺対策としてはどうでしょうか?

今回は、家族信託が詐欺対策として有効なのかを考えていきます。

結論から言いますと、「完全に対策するには難しい」と言えます。

1.詐欺の契約を取り消す事はできるか?

まず親が詐欺にあった時に第一に考えるべき事は、「契約を取り消す事」です。

訪問販売とかであればクーリングオフや、そもそも詐欺を理由とした契約の取り消しです。

これらの取り消しは契約を行った人、つまり親が行う必要があるのですが、もし親が訳も分からないまま高額商品の契約をしてしまった場合、取り消しの意思表示は難しいでしょう。

クーリングオフは期間内に行わなければいけませんし、詐欺による取り消しであれば、詐欺である事を立証する必要があります(それは普通の人でも難しいでしょう)。

そうすると家族信託における受託者が親の代わりに契約を取り消す事ができるかと言う話しになりますが、法律上、受託者には親(委託者、受益者)が行った契約の取消権はありません。

その為、この点で言えば家族信託で詐欺対策を行うのは難しいと言えるでしょう。

2.全ての財産を信託財産にすれば、事実上の詐欺対策になる?

では、親の財産のほとんどを信託財産にして、受託者である子供が管理する方法はどうでしょうか?

家族信託を利用した場合、信託財産は委託者(親)の財産ではなくなります。

その為、仮に詐欺会社が親に対して裁判を行い勝ったとしても、詐欺会社は信託財産を差押える事は出来ないのです。

では親の財産を差し押さえようとしても、ほとんどの財産を信託財産にしていれば、結局、詐欺会社は裁判に勝っても意味がない事になります。

このように親のほとんどの財産を信託財産にした場合、事実上の詐欺対策にはなるでしょう。

なお、受益権は差押える事が出来るので、良くある家族信託の「委託者=受益者」の場合は理論上は差押さえが可能ですが、あくまで差押える事が出来るのは受益権であり信託財産でありません。

3.もし相続が起こったら・・・?

このように家族信託を利用すると事実上、詐欺対策を行う事は出来るのですが、良く考えると注意点があります。

それは、親の相続が発生した場合です。

上記の例で詐欺会社が裁判を行い勝った場合、親の財産を差押える事が難しいだけで契約に基づいた支払い義務は残ったままです。

その状態で親が亡くなったらその支払いの義務は誰が負うのか?

そう、相続人ですね。

時効援用等の対応策はありますが、有効な対応策がない場合、相続放棄をしない限りは支払う必要があるのです。

4.まとめ

家族信託はある程度の詐欺対策は行う事は出来ますが、完全ではありません。

財産を管理するのは受託者である子供であっても、家族信託と言う仕組みに頼りっきりにするのではなく、

・親とは定期的に連絡を取り合う。
・訪問販売等が来た場合、絶対に即決しないで子供に連絡してもらうように徹底する。

等の対策を行い、詐欺被害にあわないようにする必要があるでしょう。

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この記事の執筆者(詳細は名前をクリック)

元役者の司法書士/2級FP技能士。「難しい事を分かりやすく・親しみやすく」がモットー。法律・老後資金・感情等、多角的な視点で考える「もめない相続」の専門家。事務所は町田駅徒歩8分。
福岡県出身/某球団のマスコットの中に入っていた事も/元人材派遣会社の業務アウトソーシングコンサルタント/温泉が大好き

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