受託者を一般社団法人にした家族信託のメリット・デメリット

一般社団法人家族信託の応用

こんにちは。司法書士の甲斐です。

家族信託をご検討されている場合、まずは当サイトを含む専門家のサイトや書籍で情報収集をされると思います。

そして、その中で「一般社団法人」の事について触れられたサイト等を見た事はありませんか?

「一般社団法人を活用した家族信託を行いましょう」

と言うような内容なのですが、でも突然「一般社団法人」と言われても「何の事??」と混乱してしまいますよね。

そこで今回は、この一般社団法人を活用した家族信託について、

・そもそも一般社団法人とは何なのか?
・一般社団法人を活用した家族信託のメリット・デメリット

について分かりやすくお話ししたいと思います。

1.一般社団法人とは?

① 法人とは?

一般社団法人の事をお話しする前に、まず、そもそも「法人」の意味をご説明する必要があります。

まず、法律上の権利を得たり、義務を負う事になるのは(これを「主体」と言います。)人間、つまり我々です。

だからこそ、スーパーでお買い物をすれば代金を支払う必要がありますし、他人にケガをさせた場合は、損害賠償責任を負うのです。

そして、権利義務の主体はもう一つありまして、それが「法人」です。

この法人、簡単に説明すると、

人間以外で、法律によって人間として取り扱われる存在

の事です。

分かりやすいのが株式会社です。

株式会社は株式会社の名前で契約を行う事ができますよね。

そして法人は株式会社以外にも様々あるんのですが、その中の一つが、人間の集まりに法人格が与えられた、「一般社団法人」です。

② 一般社団法人の概要

主な設立までの流れ

まず、設立にあたっては、社員が二人以上必要になってきます。

ここで言う「社員」とは、従業員の事ではなく、一般社団法人の意思決定を行う構成員の事です。

株式会社で言えば、株主がこれにあたります。

社員は「社員総会」(株式会社で言う「株主総会」)で一般社団法人の様々な活動についての意思決定を行います。

その他、設立までのザックリとした流れは、定款を作成して公証人に認証してもらい、法務局で設立登記申請を行います。

このあたりは株式会社と同じです。

一般社団法人の機関

一般社団法人の主な機関は、理事・理事会・代表理事・監事です。

株式会社における、
・理事 → 取締役
・理事会 → 取締役会
・代表理事 → 代表取締役
・監事 → 監査役
と考えると分かりやすいと思います。

理事、代表理事は社員総会で決められた事について、実際の業務を執行します。

監事は定款で定めることによって設置できる機関で、「理事」の職務の執行を監督する人です。

(理事会を設定した場合は、必ず監事を置く必要があります。)

このように、一般社団法人の機関は、株式会社をベースにされています。

2.一般社団法人を使った家族信託とは?

では、一般社団法人を使った家族信託とは何なのかと言いますと、受託者を一般社団法人にする家族信託の事です。

良くある認知症対策の家族信託では、受託者を委託者の子供等の個人が行っています。

しかし、受託者が個人である場合、委託者よりも先に亡くなったり、病気等で受託者としての仕事が出来なくなる可能性が出てきます。

そうなってしまえば、せっかく利用している家族信託が機能不全状態に陥ってしまいます。

そこで受託者を法人である一般社団法人にすれば、(理事等の機関をきちんと準備すれば)上記のような「個人の受託者」の弊害を回避する事が出来るのです。

3.一般社団法人を使ったメリット・デメリットとは?

① メリット

【受託者の死亡等によって、家族信託が途中で終了する事がない。】

上記でお話しした通り、受託者が個人の場合は死亡等の弊害があるのですが、一般社団法人は解散等がない限り、無くなる事がありません。

つまり、受託者の個別具体的な事情によって家族信託が影響を受ける事がなく、長期的に安定した家族信託を行う事が可能になります。

② デメリット

【法人税が課税される】

法人税は法人がその活動で利益を得た時に支払う税金です。

一般社団法人が受託者になった場合、無報酬にしている事が多く、その結果、受託者である法人は売上0円になります。

売上0円であれば利益がないので、法人税は課税されないような雰囲気がしますよね?

しかしながら、売り上げ0円の場合、法人市民税と言う税金の均等割が発生し、地域によりますが最低7万円程度の費用が発生する事になります。

【計算書類(貸借対照表及び損益計算書)を作成する必要がある】

家族信託のためだけに一般社団法人を設立したとしても、法人としてしっかり運営を行わなくてはいけません。

一般社団法人は法律上様々な義務があるのですが、その中の一つを挙げてみますと、各事業年度ごとに計算書類(貸借対照表及び損益計算書)を作成する必要があります。

「数字が苦手で・・・」

と思っても、頑張って(時には税理士に相談したりして)これらの書類を作成する義務があるのです。

4.まとめ

個人の受託者と法人の受託者、どちらにするかは一長一短があり、最終的には

「どのような家族信託を行いたいのか?」

をベースにして決めると良いでしょう。

例えば、一般社団法人は個人と比べ継続性に優れていますので、長期間の家族信託をお考えの場合に検討しても良いかもしれません。

しかし、会社(法人)の運営をやった事がない方にとっては意外と面倒な事があります。

その為、一般社団法人を受託者として検討されている場合、一般社団法人の運営の事が書かれた書籍等を入手して、勉強された方が良いでしょう。

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