家族信託における信託目録とは?作成のポイントを解説します

信託目録家族信託の応用

こんにちは。司法書士の甲斐です。

家族信託を行う上で、自宅等の不動産を信託財産にしたい事が良くあると思います。

不動産を信託財産とした場合、所有権移転登記申請と信託登記の申請を行います。

・所有権移転登記申請
→不動産の所有者を受託者にする登記申請。
・信託の登記申請
→不動産が信託財産になりましたと公示する為の登記申請。
この際に、「信託目録」を作成して登記申請を行う必要があるのですが、この「信託目録」、一般の方は馴染みが無いのでイマイチ良く分からないと思います。
(信託目録は登記されます。)
そして、実はこの信託目録、家族信託のご相談を受け、所有権移転登記申請を行う司法書士も毎回悩みながら作成するのです。
今回は、その信託目録についての基本的な知識と作成のポイントをお話ししたいと思います。

1.信託目録とは?

信託目録とは何なのか?簡単に説明しますと、

「信託契約書等で当事者が決めた信託の内容を目録化したもの」です。

上記のとおり、信託目録は登記されますので、信託財産である不動産の登記事項証明書を取得すれば、その信託の内容も分かる、と言う事になります。

そして信託契約の全てを信託目録にする必要はなく、信託目録に絶対に記載すべき内容は法律で決まっているのです。

2.信託目録に記載すべき事項

信託目録に記載すべき内容の一部は、下記の通りです(不動産登記法97条、不動産登記規則176条)。

① 委託者、受託者及び受益者の氏名又は名称及び住所
② 受益者の指定に関する条件又は受益者を定める方法の定めがあるときは、その定め
③ 受益者代理人があるときは、その氏名又は名称及び住所
④ 信託の目的
⑤ 信託財産の管理方法
⑥ 信託の終了の事由
⑦ その他の信託の条項
ここで問題になるのが、⑦の「その他の信託の条項」です。
つまり、理論上は作成した信託契約書の条項を、全て信託目録に記載する事ができるのです。
でも、そんな事をしてしまえば手間と時間がかかってしまい、非常に大変です。
その為、実務上は、信託契約書の条項の一部をピックアップし信託目録に記載するのですが、ここでも問題が出てきます。
そもそも、信託目録に記載するしないの判断基準、どうすれば良いのでしょうか?

3.信託登記を行う事によってどのような効果があるのか?

法律で定められた以外の条項を信託目録に記載する判断基準のルールは特に決められていません。

ですが、信託目録を作成する目的、つまり登記を行う目的を考えると、その判断基準はある程度見えてきます。

登記を行う目的、色々とあるのですが、一つ挙げるとすれば、

不動産取引を円滑に行うため」です。

不動産の登記事項に記載されている情報は真実とは限りません。

それでも所有者は誰なのか?担保権は設定されているのか?等調査を行う事で、不動産の取引を円滑に行う事ができます。

そして、登記されている情報から、

自分の権利を確保する為には、どのような登記申請を行えば良いか?その際の注意点は何か?

と言う事が判断出来ます。

そうであれば、信託目録も「不動産取引を円滑に行うため」の情報を、信託契約書から抽出すべきでしょう。

具体的には、

・信託法で決められたルールとは別のルールを信託契約で定めた場合で、かつ、その別ルールが信託財産である不動産の登記申請に影響を与えうる場合。
・後日必要となる(想定される)不動産の登記申請が、きちんと受理される事を確保したい場合。
・後日必要となる(想定される)不動産の登記申請の障害とならない事を明確にしている条項。
等が考えられます。

4.『その他の信託の条項』として、信託目録に記載した方が良い事項

それでは、信託契約の中で定めた場合で、かつ『その他の信託の条項』として、信託目録に記載した方が良いと思われる条項をピックアップしてみます。

⑴ 信託の期間。

⑵ 受託者の任務の終了理由。

⑶ 受託者の任務が終了した場合に、後継受託者がいる場合はその者の住所・氏名。

⑷ 受益者代理人の選任の方法を定めている場合は、その方法。

⑸ 信託監督人を指定していれば、信託監督人の氏名・住所。信託監督人の選任方法を定めている場合は、その方法。

⑹ 受益権の譲渡可能の可否、受益権の担保権設定の可否。

⑺ 受益権の相続に関する規定。
(例:本件信託の受益権は、受益者の死亡により相続はしない。等)

⑻ 委託者の地位の相続に関する規定。
(例:本件信託の委託者の地位は、相続により承継しない。等)

⑼ 受託者の信託事務を第三者に委託できる規定があれば、その規定。

⑽ 信託の内容の変更に関する特則。

⑾ 信託が終了した場合の残余財産の帰属に関する規定。

もちろん、これ以外にも「不動産取引を円滑に行うための情報」で、信託目録に記載した方が良い条項があれば、信託目録に記載しても良いでしょう。

5. まとめ

今回のお話は少し難しかったかもしれませんが、信託目録は信託契約書をピックアップしたものであり、それを見ればどのような家族信託なのかがある程度分かる、重要なものです。

不動産の登記制度から考えても、この信託目録はおざなりには出来ない部分です。

家族信託を行い不動産を信託財産としたい場合は、必ず家族信託に精通した司法書士にご相談するようにして下さい。

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