家族信託が終了した時に受託者が行う事(信託の清算のやり方)

税金 家族信託の基本

こんにちは。

今回も受託者の実務のお話しです。

家族信託は数年、数十年間に渡って継続する事もあるのですが、それでも信託が終了する事があります。

認知症対策における家族信託であれば、委託者=受益者が亡くなった時等ですね。

事前に信託契約書で決めた事や、信託法で決められた事が発生した場合、家族信託が終了しますが、受託者の仕事はそこで終わりではありません。

いわゆる清算手続きを行い、残った信託財産をしかるべき人に引渡し、そこまでやってようやく受託者としての仕事も、家族信託も終了するのです。

この家族信託の清算についても大切になってきますので、分かりやすく解説したいと思います。

1.信託が終了する事由

信託が終了する事由は信託法で様々決められていますが、代表的なものは以下のとおりです。

・信託の目的の達成
・信託の目的の不達成
・受託者と受益者が同一人物になって1年間継続。
・委託者が欠けた状態が1年間継続
・信託契約書等で定めた事由による終了。
・委託者と受益者の合意による終了。
認知症対策の家族信託では、信託契約書の中に
「受益者(=委託者)〇〇が死亡したとき」
と言う定めをしているケースが多いでしょう。
そして、実際に受益者が亡くなった時に信託が終了するのですが、信託が終了した場合、受託者は清算を行わなければなりません。
なお、家族信託は終了した場合でも、清算が結了するまではなお存続するものとみなされます。
家族信託が終了した時以後の受託者は『清算受託者』と呼ばれ、下記の仕事を行う事になります。
⑴ 現在行っている全ての仕事の終了
⑵ 信託財産に関する債権の取立、信託財産に関する債務の支払い
⑶ 受益債権(残余財産の給付を内容とするものを除く。)に係る債務の支払い
例えば、投資用のアパートを信託財産としていた場合、
⑴ まず賃料の取立て、固定資産税等の支払いを行い、
⑵ その賃料を受益者に渡し、
⑶ 最終的に収入と収支がいくらになったのかを計算、残った信託財産を決められた者に引き渡し、その計算書類の承認を求める。

と言う流れになります。

2.残った信託財産(残余財産)の引渡し

家族信託が終了した場合、清算受託者は残った信託財産(残余財産)を決められた人に引き渡す義務があります。

【残余財産を引渡す人の優先順位】

・信託契約書等で指定した残余財産受益者。
・信託契約書等で指定した人物(権利帰属者)。
・信託契約書等で指定していない場合、委託者またはその相続人。
・信託行為で指定した人物がその権利を放棄した場合、委託者またはその相続人。
・清算受託者

具体的な財産の引渡し方法は、預金であれば振込、不動産であれば鍵や必要書類の引渡し、所有権移転登記及び信託登記の抹消登記申請を行います。

なお、引渡しの際は証拠として下記のような書類を作成した方が良いでしょう。

信託財産引渡書

受託者 〇〇 〇〇 様

私、〇〇 〇〇は、委託者〇〇 〇〇、受託者〇〇 〇〇間の平成〇年〇月〇日付け不動産及び金融資産管理処分に関する信託契約書(以下、「本信託契約書」と言います。)第〇条に基づき、残余財産の帰属権利者として、本日下記の信託の残余財産及びその必要書類等を受領しました。

1 信託の残余財産の表示(省略)
2 信託の残余財産に関する重要書類の表示(省略)
3 信託の残余財産の鍵の表示(省略)

信託不動産の表示(省略)

平成〇年〇月〇日
横浜市泉区〇〇町1234番地
残余財産帰属者 〇〇 〇〇 ㊞

3.計算の承認

清算受託者は、その職務を終了した時は、速やかに、

・信託事務に関する最終の計算を行い、
・信託が終了した時における受益者及び帰属権利者のすべてに対し、

その承認を求めなければなりません(信託法第184条)。

収入と支出がきちんと合っているか、その計算方法に間違いが無いかをチェックしてもらうと言う意味です。

実際には計算書類を作成して、その承認を求めると言う流れになります。

計算書類は各家族信託の趣旨を考え、使いやすいように作成すれば良いのですが、例として下記のようなものを作成する事が考えられます。

家族信託計算書

4.まとめ

経理の仕事をされている方はイメージしやすかったと思いますが、家族信託を終了させるためには、金銭面をしっかりと明らかにする必要があります。

その為には、信託財産に関した発生して収入と支出について、その都度記録する事で計算書類の作成も簡単になってきます。

家族と言えど他人の大切な財産を預かるわけですので、後から

「あれ、この出費って何だっけ??」

なんて事がないようにしましょう。

タイトルとURLをコピーしました